ブログ

Blog

指の動きが悪くなったらそれはバネ指かも?!
  • 2020/06/14
  • 整形外科の症状

バネ指

指の動きが何かに引っ掛かるように感じたらバネ指かもしれません。英語ではtrriger fingerとかsnapping fingerなどと呼ばれています。指を伸ばそうとしてもなかなか伸びなくていざ伸びるという状況になったらバネが弾かれたように急にのびるので「バネ指」といわれるようになりました。もちろん逆に曲げようとした時にも引っかかります。

バネ指とは

手には指を動かす筋肉と腱、そしてそれらを固定する腱鞘があります。
腱鞘は腱を周囲から包むような構造をしています。中に収まっている腱の一部が何かのきっかけで膨らんでしまったり、周りを囲っている腱鞘が厚みを増して管の部分が細くなったのがバネ指です。

これらの部分はスムーズに動きません。ひどくなると毎回引っ掛かるようになります。引っかかった後弾けるように伸びたり曲がったりする動作が繰り返されているうちに痛みを伴うようになり、最終的には全く動かせなくなるのです。

原因

指を酷使する人になりやすいといわれていますが、そんなに指を使わない人もなりますのではっきりとした原因はわかりません。
ただ、糖尿病の方には比較的症状が出やすいので、血液の流れが関与しているかもしれません。糖尿病と手のこわばりが合併する頻度は16〜18%という報告があります。
(1 型糖尿病患者における手のこわばり症状の頻度と臨床的特徴 〜DIACET2014 調査から〜)

繰り返し指を使ったとか、持続的に物を持ち続けたとか原因のはっきりしている人は55%で、原因不明は45%、母指が一番多く、人差し指と小指が明らかに少ないという報告があります。(接骨院における弾発指 140 例の調査・検討:服部辰広先生)
中年以降の女性に多く認められるので、女性ホルモンの不足も関与していると考えられたり、原因については諸説様々です。


治療

<安静>
まずは安静です。
使いすぎが原因でバネ指になったのなら安静にしていれば改善します。ただし、バネ指になってから長い期間が経過しているとなかなか元には戻りません。
安静状態を維持するために、サポーターの固定は有効ですが、きつく巻きすぎないように注意が必要です。サポーターには金属板などが入っていて指を簡単に曲げられないような仕組みになっています。

テーピングで固定できるタイプのバネ指もありますが、多くのバネ指は掌の中心に近い場所にあるA1と呼ばれる腱鞘でトラブルになっています。指だけ固定するのはあまり効果がないかもしれません。


安静の際は湿布を使ったり、特に急性期であれば冷やす治療も重要です。
腱鞘の腫れがひけば指の動きは戻ってきます。

<ストレッチ>
安静と同時にストレッチも効果があります。
様々な方法が提唱されています。

(1)とくなが法(東京女子医大整形外科 手肘グループのHPより)

人差し指から小指まで使って木片などを強く握って指を曲げます。
 
今度は逆にいたい指を中心に反対の指で反り返らせます。
 
このストレッチを繰り返します。

(2)グーパー運動(山王病院整形外科青木孝文先生考案)
大きく手を反り返るほど広げる。
 
そのあとしっかりと握る。
 
これを10回ほどくり返す。

いずれも伸ばして縮める運動です。
二週間ほどで効果が出るとされています。
まず試してみてはいかがでしょうか?

<腱鞘内ステロイド注射>

保存的療法で効果が期待できない場合
指を動かす腱とその周りの腱鞘との隙間にステロイド注射が有効です。
ステロイドは強力な抗炎症作用を持っています。注射を打つと腱鞘もしくは腱の腫れがひいてきます。効果が出るのは、早い人は翌日から、遅い人は3週間くらいかかります。個人差はありますが3ヶ月ほど効果が期待できます。(注射は痛みを伴うので一緒に局所麻酔薬を入れる時もあります。)

ただしステロイドには副作用があります。
糖尿病の人は一時的に血糖値が上がりやすくなります。担当医と糖尿病のコントロールの状況を見極めて治療していただけたらと思います。

ステロイド注射を使った治療は1回で済んだら一番よいのですが、複数回打つ場合もあります。しかし、糖尿病が悪化したり、腱が融解するというような副作用もあるのでせいぜい3回くらいまでと考えられています。それ以上症状が続くのであれば手術を選択した方が良いかもしれません。

注射を1回打っただけでよく効いて、その後再発しない人がいます。(女性で約50%、男性で約30%)
以下は2014年に発表されたその海外のデータです。

(Long-Term Outcomes Following a Single Corticosteroid Injection for Trigger Finger
Robert D. Wojahn, MD, Nicholas C. Foeger, MD, PhD, Richard H. Gelberman, MD, and Ryan P. Calfee, MD, MScより作成)

最初の2年間に再発する人が多く認められます。
男性も女性も2年を過ぎる頃からあまり再発しなくなります。

<手術>


ステロイドを3回打っても再発する場合には手術を考えます。
腫れている腱鞘を切って腱が自由に動くようにします。以前は手のひらを大きく切開する手術が必要でしたが、最近では針の穴のような傷で中の腱を切断する手の外科専門医が多くおられます。手術をしても引っ掛かりが残っているように感じる場合がありますが、その場合はステロイド注射をもう一度使うと効果があります。
なお、腱鞘はいくつもあり一つを切り離しても他の腱鞘が支えてくれるので腱はずれません。

まとめ

指の動きが悪くなると日常生活に支障が出る場合が多いと思います。
特に指がひっかかるような動きをするときは腱鞘か、腱が腫脹しているかもしれません。安静や、ストレッチで改善しないようならお近くの整形外科で相談されると良いでしょう。

一覧に戻る