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治らない口内炎は難病の可能性?!〜色々な口内炎〜
  • 2020/01/01
  • 内科の症状

口内炎とは



口の中にできる炎症のことで潰瘍を作るものから、赤くなっているだけのものまであまりはっきりとした定義はないようです。
とにかく痛みがうっとうしい疾患です。

放置していても自然と治る口内炎が多いのですが、放置していても治らないベーチェット病という難病があります。非常に稀な疾患ですが、いったん発症するとなかなか治らない上に失明する可能性もあります。口内炎の中では忘れてはならない疾患です。

また、他にもいろいろな原因で口内炎になり、その対処法もそれに応じて様々です。

口内炎の原因

口内炎の原因には以下のものがあります。
 
● 再発性アフタ性口内炎
● ウイルス感染による口内炎
● カンジダ感染による口内炎
● 外傷性口内炎
● 薬剤による口内炎
● ベーチェット病に伴う口内炎
● 亜鉛欠乏症による口内炎



再発性アフタ性口内炎

口内炎の中では圧倒的多数です。
特に若い年代で多いと思います。
原因はハッキリとはわかっていません。



ストレス、ビタミン不足、疲労など様々なことが原因ではないかと考えられています。

再発性アフタ性口内炎は主に小児期に発症し、その後30歳までの間により高い頻度で罹患します。この疾患は三つのタイプに分類されます。

● 小アフタ性口内炎
● 大アフタ性口内炎
● ヘルペス型口内炎
 
もっとも頻度が高いのは小アフタ性口内炎で約2週間で治癒します。
2週間でやっと治癒したと思ったらまた再発するということもしばしばあり、青年期には非常に苛立たしい疾患です。



ただし、年齢が上がるにつれ重症度も発症頻度も低下します。歳を取るとなかなか再発性アフタ性口内炎にならなくなります。

再発性アフタ性口内炎の治療薬



もっとも使用されているのがステロイドの軟膏や口腔用貼付剤です。




ステロイド軟膏の治療成績は著明改善6.1% 改善26.5% やや改善46.9%で合計79.5%が有効でした。(添付文書による)
口腔用貼付剤は中等度改善以上の有効率は87%でした。(添付文書による)
 
強力ネオミノファーゲンC、グリチロンは肝機能改善の時に使われる薬剤ですが、口内炎にも効果があり有効率はそれぞれ56.8%、86.9%でした。
 
ビタミンB2が関与していると考えられる口内炎に対してビタミンB2を投与した場合の有効性は69.2%でした。(添付文書による)
保険適応ではビタミンB2錠(1錠あたり5mgもしくは10mg)を1日あたり5mg〜45mg投与します。
 
ビタミンB6が欠乏している口内炎にはB6が効果があるとされています。(添付文書上有効性の記載なし)
保険適応ではビタミンB6錠(1錠あたり10mg、20mg、30mg)を1日あたり10mg〜~60mg投与します。
 
ビタミンC製剤には今のところ口内炎の保険適応がありません。(2020年1月現在)


黄連湯とステロイド軟膏との治療比較


半夏瀉心湯、黄連湯、黄連解毒湯は口内炎に効果のある漢方薬です。それぞれ7種類〜4種類の生薬で構成されていますが、その中で共通するのは黄連です。黄連がその成分の中ではもっとも口内炎に効果があるのかもしれません。



再発性アフタ性口内炎では痛みが消失するまでに、治療しないと平均17日間、ステロイドの軟膏では7日間、黄連湯では2.1日間かかりました。治癒するまでに無治療で17日間、ステロイドの軟膏で12日間、黄連湯で5.5日間かかりました。(口内炎に対する黄連湯エキス剤の効果について.日本東洋医学雑誌1995;46:439−45)


ウイルスによる口内炎


ウイルスによる口内炎の代表的なウイルスは2019年(今年)大流行した手足口病のウイルスです。手足口病とほとんど同じ口内炎の形状になるヘルパンギーナもあります。コクサッキーウイルスやエンテロウイルスの一部がこれらの病気の原因となります。



ウイルス性口内炎の手足口病とヘルパンギーナは喉の奥に口内炎が出来て最初は痛みがある場合があります。登校登園許可は食事が摂れることが条件になっています。喉の奥に口内炎があるので塗り薬を塗ることも難しいのですが、約5日間ほどで自然に治癒します。


カンジダ性口内炎

カンジダは、真菌=カビの一種です。元々口の中に少数で住んでいますが、体の抵抗力が落ちたり、治療でステロイド使っているときに発生しやすくなります。

当院でしばしば見かけるのは喘息の治療中の場合です。ステロイド入りの吸入薬を使用した後にうがいをしなかったり、うがいが足りなかった場合にしばしば起こります。また様々な疾患でステロイドを飲んでいるときにも起こる時があります。
他には抗がん剤で抵抗力が落ちてカンジダによる口内炎が起こる場合もあります。
 
治療は抗真菌剤を口の中にしばらく含み、うがいをするようにしてカンジダを退治します。


外傷性口内炎

外傷は口の中を噛んでしまった時に起きます。一気に大きな口内炎になることがあります。口の中は多くの細菌がいるので抗生物質やポピドンヨードによるうがいが有効な場合もあります。約1週間ほどで治癒します。




薬剤による口内炎

抗がん剤による口内炎は非常に頻度が高いので要注意ですが、抗生物質、胃薬、降圧薬、痛風の薬、抗リウマチ薬、痛み止めなど様々な薬の副作用に口内炎は認められます。調べてみると現在医療機関で処方される145種類の薬に口内炎の副作用の記載があります。(「今日の治療薬2019年」より)
 
もちろん薬剤の中止がもっとも効果が高いのですが、抗がん剤など中止や変更が難しい薬剤もあります。勝手にやめてはなりません。担当医と相談しながら対処法を模索する必要があります。


ベーチェット病による口内炎

ベーチェット病は口腔粘膜のアフタ性口内炎、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つの症状を主症状とする慢性再発性の全身性炎症性疾患です。
特に20〜40歳くらいの人に発症することが多い病気です。眼の症状はこの病気で最も重要な症状です。多くの場合両眼に痛み、充血、眩しさ、などが起こります。網膜も侵され、障害が蓄積されて失明することもあります。





また、神経を侵されることもあり急に髄膜炎になったり、麻痺を起こし、認知症になるような慢性の経過を取る場合もあります。
難病65に指定されているほど難しい病気です。
眼科で発見される場合が多いと思いますが、口内炎もまた特徴的な症状なので長引く口内炎の場合は一度疑ってみなければならないでしょう。

亜鉛欠乏症による口内炎

亜鉛不足で口腔内の免疫力や、たんぱく質合成能力が低下して、その結果、粘膜が弱くなることで、口内炎が起きやすくなります。
 
治療としては亜鉛を補充する薬を投与します。1錠あたり25mgもしくは50mgの酢酸亜鉛水和物(医療用薬剤)を投与します。
ちなみに亜鉛が多い食品は以下の通りです。


摂り過ぎると銅が不足すると言われていますが、通常の食事で摂る分には心配入りません。

舌がん

舌がんは舌にできるがんです。がんが小さいうちは口内炎のように見えるかもしれません。がん細胞は増殖する細胞なので舌の粘膜が複雑な形に変形したり、盛り上がってきたり、凹んだり様々な形態をとります。口内炎とは違う形態をしています。もちろん組織を一部取って調べてみないとがんかどうかわかりませんので、舌がんを心配されるときは検査が必要になります。

まとめ

口内炎はその原因は様々ですが、その中でももっとも頻度の高い再発性アフタ性口内炎の原因はよくわかっていません。そして、その治療法も対症療法中心です。一つの治療で効果がない時もあります。その場合は別の治療法を試してみると有効かもしれません。

また非常に稀な疾患ではありますが、口内炎がいっこうに治らない時はベーチェット病や亜鉛欠乏症が原因かもしれないので医療機関の受診をお勧めします。
 

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