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マンガで解説

~肺年齢とは~

肺年齢とは

肺年齢とは、同じ年齢の標準の人と比べてどの程度の呼吸機能なのかを知る指標のことです。 そして、呼吸機能(※1秒量)は20歳前後をピークとし、年齢とともに減少することがわかっています。(※1秒間に吐き出すことができる最大の空気量のこと。肺活量の検査で調べます。)

以下の計算式により、1秒量がわかれば肺年齢を計算出来ると分かります。

日本人の肺年齢の計算式(18歳から95歳)
  • 男性: 肺年齢 = ( 0.036 x 身長(cm) − 1.178 − FEV1 (L)) / 0.028
  • 女性: 肺年齢 = ( 0.022 x 身長(cm) − 0.005 − FEV1 (L)) / 0.022

※FEV1:1秒量のこと。

当院で肺機能検査をすると自動的に肺年齢が算出されます。
このように導き出される肺年齢によって肺機能の状態を見極めることができます。

肺年齢が高い人

年齢が高いとは、肺の機能が落ちているということ。つまり、年齢相応の空気を吐き出せないとき、肺年齢が高いと言えます。
では、どのような場合に肺年齢が高くなるのでしょうか? 気道(気管や気管支)が狭いと1秒に年齢相応の空気を吐き出すことができず、
肺年齢が高くなります。 そして、気道が狭くなる病気は二つあります。

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)
    COPDは初期の段階では咳、痰、息切れなどの症状を自覚しにくく、またゆっくりと進行する疾患です。ですが放置すると酸素ボンベが必要になり、肺炎などにかかり最悪の場合は命を落とすこともある疾患です。

    厚生労働省の統計(2017年)でCOPDは男性の死亡原因順位、第8位でした。
    原因
    これは90%以上タバコが原因です。自身がタバコを吸わなくてもなる場合があります。しかし、タバコの煙を吸わなければほぼCOPDになることはありません。

    タバコの煙を吸い続けていると気道が狭くなってきます。肺自体もタバコで壊れてきます。この病気になると気道は元の太さに戻ることはありません。タバコの恐ろしいところです。
    COPDについてはこちらもご覧ください
  • 気管支喘息
    気道の炎症(好酸球による炎症)が起きて気道が狭くなっています。
    気道の炎症が落ち着くと気道は元の太さに戻ります。
    原因
    これは体質や、環境、感染、アレルギー、ストレスなどいろいろなことが原因です。
    COPD(慢性閉塞性肺疾患)の肺年齢は年々歳をとりますが、気管支喘息は若くなったり歳をとったりします。
    肺年齢が高い時はこの二つの病気の可能性を考えなければいけません。
    また、肺年齢は肺活量にも左右されます。どんなに喘息があっても、もともと水泳選手とかブラスバンドで鍛えていたりすると肺活量が多いので肺年齢は若くなります。
    反対に喘息でもCOPDでもないのに肺活量が少ないと肺年齢は高くなってしまいます。

肺年齢が高いとどうなるの?

肺年齢が実年齢よりも高いと運動能力が完全に発揮できません。
体は若いのに肺年齢が高いと体に空気が入ってこないので酸素不足で不完全燃焼になります。
これはどういう状態かというと、ちょっと頑張るとすぐに息切れを起こします。
休めばまた動けるようになりますが、また少し頑張るとすぐに息切れを起こします。

特にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の場合は常にこの状態が続くのでとてもつらい状態です。
この状態が長くつづくと酸素ボンベから酸素を吸いながらでないと生活できなくなります。

肺年齢を若くするには

  • COPDの場合
    • 禁煙
      禁煙しないで以下の治療をしても効果が出ません。どうしても禁煙できないときは健康保険適応の禁煙補助治療をしてください。

      肺は正常でも薄い紙風船のような臓器です。肺に筋肉はほとんどありません。したがって肺は鍛えることができません。

      そのため、一度タバコで壊れた肺を回復させることは難しいのです。

    • トレーニング
      肺を動かしているのは肺の周りの筋肉です。肺は鍛えられませんが、筋肉は鍛えることができます。
      まず、目一杯大きく息を吸って力一杯吐いてみてください。これを繰り返すことによって肺を動かす筋肉のトレーニングになります。

      ①吸い込んだら口を小さくすぼめましょう。
      ②空気を口から少しずつ吐き出します。

      これを1日30回以上続けてみましょう。かなり胸の筋肉や横隔膜の筋肉が鍛えられるはずです。

      他にはゴム風船を膨らませたり、トランペットやフルートを吹いたり、水泳をしたりするのもトレーニングとして効果的です。
      気道が狭くても筋肉が強くなれば肺活量が増え、1秒間に吐き出すことができる空気の量も増えてきます。
      そして、肺活量が増えれば肺年齢は若くなります。
  • 気管支喘息の場合
    気道の炎症はリハビリでは改善しません。投薬治療が必要になります。そして投薬治療をきちんと継続した場合、肺年齢は改善します。
    しかし、何度も発作を起こし、炎症を何度も繰り返していると気管支がだんだんもとの太さに戻らなくなってきます。
    これを肺のリモデリングと言います。
    リモデリングが起きてしまったら、少しでもよくするには上記のCOPDのリハビリと同じようになります。そしてCOPDと同じく喫煙は喘息に対して明らかに悪影響ですので、禁煙が必要です。

トレーニングで改善しない場合

どうしてもトレーニングが辛いという場合や、どんなに頑張っても肺年齢が改善しない場合は投薬による治療をします。

  • COPDにおける投薬
    • 抗コリン薬の吸入
      最も効果が高い治療法です。
      この薬は強力な気管支収縮抑制作用があります。気管支が収縮するのを抑制するという表現だと効果はたいしたことないように感じますが、実は非常に強い気管支拡張の効果があります。
    • β刺激薬
      吸入薬、飲み薬、貼る薬です。
      この薬は交感神経を刺激して気管支を拡張する作用があります。抗コリン薬に負けない効果があります。

      最近ではこの二つ(抗コリン薬とβ刺激薬)を一緒にした合剤が出ています。作用機序(作用の仕方)が違うので相乗効果があります。
      また、主に喘息を合併しているCOPDには吸入ステロイドを使います。喘息のないCOPDには効果がないので慎重に使うべきです。
  • 気管支喘息における投薬

    気管支喘息の場合もこれらの薬(抗コリン薬、β刺激薬、吸入ステロイド)は全部効きます。
    しかし炎症の原因が病気のため、治療の主役は吸入ステロイドです。

    β刺激薬は一時的に広げるだけなので大元の原因(炎症)を治すわけではありません。
    抗コリン薬は、最初は喘息には効かないと考えられていました。
    ところが、ステロイドが効かない中等度以上のひどい喘息では効果を示しました。
    そのため第1選択薬ではないですが、ステロイドが効かない喘息の場合は坑コリン薬を使います。

    ゆえに、気管支喘息を治療するときは根本の原因である炎症を治す吸入ステロイドをまず第1に使います。

肺年齢が高いと将来息切れを起こして酸素ボンベを引きながら生活することになります。そうならないためにも呼吸筋のトレーニングをしたり、必要ならば投薬治療を行い肺年齢を若返らせましょう。

そして、寝たきりにならないように元気に生活して健康寿命を伸ばしましょう。